「生涯のうちに出会う事象を転機のチャンスに変える取組」押栗泰代さんの場合

Posted on

osiguri-san

滋賀県に住む保健師、押栗泰代(おしぐり・やすよ)さんの趣味は、ドライブなどに便利な休憩所「道の駅」巡り。併設された直売所で、スーパーなどではあまり出回らない旬の味覚の食材を見かけると、どうしたらおいしく料理できるかついつい想像してしまうと話す。現在、「ナーシングクリエイト」と特定非営利活動法人(NPO)「マイママ・セラピー」を運営している。

戦地で働く看護師に憧れて
祖母から戦争の話をよく聞かされたという押栗さんは、生死の境目で活躍する看護師に自分の姿を重ね、県内の看護師専門学校へと進んだ。その後大津市民病院に勤めたものの、看護経験のある保健師を求めていた大津市の希望もあり、大津市役所へ異動となった。
そこでは、全国でも先駆けとなる「子育て支援」のチーム作りや担当者の教育など、主にまとめ役としての業務を任されていた。時にはほかの地域の担当者が相談に来ることも多かったという押栗さんだが、いざ出産を経験してみると、必要としている育児支援がどこにもないことに改めて気付かされた。
「自分が手がけてきた行政のサービスは、必ずしも現場のニーズを反映していなかった。それならば、本当に必要とされる支援体制を、自分で創ってみよう」。
支援のカギが、出産期の女性が抱える「不安」にあるのではないかと考えた押栗さんは、その解決方法を見いだすべく、滋賀医科大学の大学院へ復学した。

女性の人生をトータルで支える
大学院での研究を通じて得たことは、価値観の押しつけは、決して不安の解消にはつながらないということだ。「根拠のない『大丈夫』は使わない」「言葉をかけるより、そばに寄り添うことの方が大切」など、具体的な行動指針も見えだしてきた。
そこで押栗さんは2000(平成12)年に独立の決意を固め、2011(平成23)年にはナーシングクリエイト株式会社を設立した。人体の基礎を理解している「看護師」、女性をメンタルで支える「保健師」、この両面を兼ね備えたプロ集団の創出という意味が、社名には込められている。
今後の夢は、気軽に何でも相談できる「街の保健室」を、全国に1000か所設けること。また、出産にかかわらず、女性の人生に起こるさまざまな転機をチャンスとして生かせるような取り組みも、手がけていきたいそうだ。

ボランティアで独立の可能性を探る
独立当初は、依頼を言い値で引き受けていたこともあり、収益化に苦労したと話す押栗さん。そうした体験から、自分の目指すサービスが事業として成り立つか、同種のボランティアなどに参加しつつテストマーケティングしてみるのも、1つの方法だという。
女性の資質を正しく見いだし、その人生を価値あるものとして捉え直す手法は、形の異なる地場野菜の真価を知る、押栗さんならではの視点が生かされているのだろう。「道の駅」の並びに「街の保健室」が建つ日も、そんなに遠いことではないかもしれない。

得意分野

産後の女性支援

相談費用

60分6000円