「名は体を表わす、保健師の仕事をもっと知ってもらいたい 」井谷衣里さんの場合

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itani

都内で保健師を開業している井谷衣里(いたに・えり)さんの趣味はドライブ。目的地を目指して愛車を駆る姿は、保健師の真の在り方を追求しながら民間企業数社を転職してきた経歴と、どこか重なるところがありそうだ。
現在では、保健師の多彩な業務内容を代弁させるべく名付けた、「ほけんし株式会社」の代表取締役を務めている。

何でもできるのに、何もできないジレンマ
井谷さんは順天堂医療短期大学卒業後、大手銀行やメーカーなどで、主に社員の健康管理にかかわる業務を担当することになった。
民間企業の最前線で強く感じたのは、「ここまで症状が悪くなる前に、何とかならなかったのか」ということ。当時はまだ、看護師と保健師の違いが十分に理解されておらず、重大な疾患を患ってから、その治療のために相談に訪れる従業員が多かったようだ。
その原因について井谷さんは、「保健師を十分に活用できていない企業側はもちろん、自分にできることをアピールしていない保健師の努力不足にも問題があるのでは」と話す。
つまり、看護師がどちらかというと「技術的な役割」を担うのに対し、保健師は予防医学や従業員全体のケアなど「社会的な役割」を受け持つ。しかし、この認識が周知されない限り、いつまでも混同や役不足が解消されないという訳だ。

営業要らずの社名で、業務内容を代弁
そこで井谷さんは2006年の10月、保健師本来の姿を知らしめるべく、分かりやすい社名の「ほけんし株式会社」を設立した。そのものズバリの社名は、インターネットの検索などでも有利に働き、公式サイトを通じて保健師が持つ「社会的な役割」をアピールすることに一役買っている。
主な業務内容は、法人相手の研修会実施や保健室の運営、従業員への通年にわたった健康指導やメンタルヘルスなど。
また、今まで総務や人事が行ってきた業務領域へ積極的に関与し、「保健師にはこんなこともできる」という啓発にも努めている。
その一方で、そろそろ「ほけんし株式会社」の独自性を打ち出すときではないかと、井谷さんは話す。今までは、保健師全体を代弁するという意識が強かったものの、自分が考える理想の保健指導を実現させたいという夢もあり、まさにターニングポイントを迎えているようだ。

転石、こけむさず
最後に、独立についての心構えを伺ったところ、「不安定に身を置くこと」が何より重要とのこと。
「真実は現場に出向かないと見えてこない、解決方法を自分で洞察し見つけ出すことの積み重ねが、成長につながるのではないか」と続ける。逆に、事前の準備にあれこれと悩むタイプほど、実際に独立するケースは少ないのだとか。
あえて知らない世界へ踏み出すことで、今まで見えなかった景色が広がっていることに気付くこともあるだろう。どうやら、井谷さんのドライブは、決して現状の満足にとどまらず、次なる目的地を目指し続けているようだ。

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